それは仮想の現実

バーチャルリアリティは本当の現実ではありませんが、最良の策です。それは、最も素晴らしい「もしもこうだったら?」を提供する技術です。バーチャルリアリティではコンピュータを使い、さまざまな環境や決定、答えをシミュレートします。そう、たとえば施工前の住宅で暮らしたり。地球の裏側にあるお店でショッピングしたり。バーチャルリアリティはユーザが経験していることは現実であるかのような感覚を与えます。

仮想空間

バーチャルリアリティでは、あなたはコンピュータの前ではなく、仮想空間に居ます。あなたの前からコンピュータなどの装置を消し、仮想空間に送ることがバーチャルリアリティです。仮想空間は必ずしも本当の現実のすべてをコピーしませんが、人間の想像力に助けられます。

非線形

始めから終わりであらかじめ決まった道筋に続くのが線形です。 例えば、映画や物語は線形な出来事です。あなたが何度「桃太郎」を見たとしても、いつもお爺さんとお婆さんは桃を持ち帰ります。逆にバーチャルリアリティの非線形では、流れてくる桃に気づかなかったり、桃を持ち帰らないこともできます。一体誰が鬼退治をするのでしょうか、また別の展開になるでしょう。

対話性

対話性とはユーザが選択できること、そして結果に影響を与えることです。選択と結果はバーチャルリアリティに現実性を与える必要なシステムです。

没入感

バーチャルリアリティは仮想の現実を提供しますが、その現実は物理的なものでなく体感させることに過ぎません。バーチャルリアリティの最終的な目標は、コンピュータで作成された世界が本当であるという感じをユーザに与えることです。そのためにユーザの五感を刺激します。現在の技術では五感すべてを満足させることは困難ですが、私たちの想像力が補ってくれるでしょう。

 

バーチャルリアリティが活用される分野

仮想化の技術は、SF映画やアニメで描かれるような技術に比べるとまだまだ未成熟ではあります。しかし、私たちの日常生活を劇的に変えるパワーがあります。コンピュータを使ったバーチャルリアリティは現時点でもさまざまな分野で活用されています。

製造業

コンセプトデザインから設計、製造、セールスプロモーションに至るまで、3次元デジタルデータが活用される製造業。開発品が存在するかのように検証や評価ができるバーチャルリアリティが、試作にかかる時間やコストを低減し、製品のリードタイム短縮に大きな効果を発揮します。

建築設計

インテリアから木造建築、大型ビル、そして街並みまで空間を創造するこの分野では、あらゆる場面でバーチャルリアリティが活躍します。共通認識を作るためのプレゼンテーションツール、確かな設計のためのシミュレーションツールとして活かされます。

土木

道路、河川、橋梁、上下水道など、人間生活のあらゆる場面に深く関わっている土木。このスケールの大きな分野にバーチャルリアリティは欠かせません。バーチャルリアリティは構造や地質、水流など、人間の目に見えない要素も可視化することもできます。

空間情報

社会基盤整備などにおいて地域の情報を多目的に分析・予測します。さまざまな空間データを統合し重ね合わせ、可視化するためにバーチャルリアリティが使われています。よりビジュアライズされ、操作の容易なバーチャルリアリティは社会づくりに貢献しています。

エンターテイメント

欧米では一人称始点のテレビゲーム(First Person Shooter:)が人気です、もちろん日本でも。これらのゲームすべてが現実世界を模倣するわけではありませんが、誰もが熱中し主人公になりきってしまう没入感は、まさにバーチャルリアリティです。

 

バーチャルリアリティの良いところ、悪いところ

近年、バーチャルリアリティはさまざまな分野で活用されるようになってきました。
バーチャルリアリティを使うことの利点は、

  • いつでもどこでも、ユーザが体感できる。建築が完成する前でも、製品が出荷される前でも。
  • リアルタイムにデモンストレーションできる。そして、さまざまな要因で変化させることができる。
  • 正確に検証、評価することができることは、製品価値の向上に繋がる。
  • 試作のためのコストや時間を低減することができる。
  • プロモーションで利用すると、強いメッセージ性がある。
  • インターネットで繋がった誰とでも体感を共有できることは、新たな可能性がある。

すべての事案でバーチャルリアリティの恩恵があるわけではありません。不都合な点もあります。

  • 費用対効果が低い場合がある。既存のワークフローが効果的なことも。
  • すべてのコンピュータで実現できるわけではない。
    その品質は、使用するソフトウェアやハードウェアの性能に依存する。
  • 相性の悪い製品もある。
    一般的に、スケールの大きな製品、ユーザとの相互作用が大きい場合ほど相性が良い。
  • ソフトウェアによっては、その制作が複雑で時間が掛かることがある。