VRにはさまざまな障害があるわけですが、「意識の壁」「再生の壁」「作成の壁」と三つに分けてお話しします。
まず、VRをブラックボックスのように感じる方へ向けてお話しします。バーチャルリアリティー、仮想現実、SFのような怪しさがある言葉ですが、実はVRで使われるテクノロジーは非常にチープでありふれたモノです。もっとも私たちの身近にあるVRは、
そう、「ビデオゲーム」です。もはや3Dタイトルが当たり前の時代。子供達は、主人公になりきり三次元空間内で自由に動くという、まさに私たちの業界で言うVRをしています。そして、日曜大工プログラマは3Dゲームを趣味で作るような時代。VRで使うテクノロジーは、この数年で、誰もが日常的に触れ、誰もが利用できる非常にありふれたものとなりました。VRなんて、そうたいしたものではありません。(*最近のゲーム機は凄いですね。ほんとにリアルタイムで計算しているの?って感じ。パソコンでもあんな風にできるような時代になれば、楽しいコンテンツが作れそうです。)
VRを行うときには、グラフィック環境の問題があります。どうな環境でもどんなVRができるという時代にはまだなっていません。僕たちは、グラフィック環境を知る必要があります。
グラフィック機能とは、「グラフィック専用の演算機能」です。専用の演算ユニット「GPU」と専用メモリ「VRAM」がその役割を果たします。「専用カード」でグラフィック機能が独立したパソコンもあれば、一般的に「オンボード」と呼ばれるマザーボード上で共有の装置を利用するパソコンもあります。
さて、それではノートパソコンのグラフィック環境は如何なものか。大きなワークステーションを持ち歩いてVRするのは昔のスタイル。スタイリッシュにVRするには、ノートパソコンな最適です。主要メーカー11社、2006年現行モデル、モデル数74タイプを検証しました。
これは、ブランドGPUの搭載数です。全体の「42パーセントの割合」でブランドGPUが搭載されています。
これは、グラフィック性能がどのように分布しているか、ベンチマークソフトの数値を元にグラフ化したものです。1000から 2000の間が、3Dゲームで充分遊べるライン、すなわちVRができる性能ということになります。この範囲に、現行モデルのグラフィック性能における最下層、オンボードタイプのものがほぼすべて納まっています。(*ベンチマークソフトへ。日本でメジャーなベンチマークソフトですね。ベンチマークというと専門的な感じがしますが、このベンチマークソフトは楽しく性能を測ることができます。そして、多くのユーザサイトなどで測定値が公開されてるので、統計が採りやすいです。)
VRが「快適に再生できるかどうかはグラフィック性能次第」です(*本当は、3Dエンジンの質も大きな問題ですが、このセミナーでは触れませんでした)。数年前は、ノートタイプのパソコンではグラフィック性能を選ぶことができませんでしたが、現行モデルの42パーセントはブランドGPUを搭載するなど、「グラフィック性能が高いパソコンを選択できる機会が増え」ました。そして、ベンチマーク結果をみると、「現行製品であればオンボードでも十分魅力的なVRを再生できる」といえます。数年後には、このパソコンではVRが動きませんみたいな状況が少なくなることを期待します。
どうやってVRを作るのか。これがもっとも高いハードルです。
一般的には、3D形状にプログラムを追加し(この行為をオーサリングと呼びます)、VRを作成します。このプログラムがVR作成の壁を高くしている原因です。プログラムを作るのは? プログラマーです。しかし、設計会社は3Dオペレータがいても、VR専門のプログラマがいることはないでしょう。だからVRが作れません。パース会社、いくら優秀な3Dオペレータがいたとしても、優秀なプログラマがいなければ、素敵なVRコンテンツは作れません。
そこで、僕がお奨めするのがこのような簡単オーサリングです。 3D形状だけでオーサリングしVRを作成する。そう、プログラム無しでVRが作れるツールがあるのです。
まず、代表的?なものに SOLA。SOLAは3DCGさえも知らない設計士が簡単にVRが作れるというのをコンセプトに開発したイークラフトのVRソリューションです。3DデータからVRコンテンツが簡単に作れます。現在では、3製品販売しています。
もっとお手軽なツールとして、3ds Maxのプラグインが数点あります。あれこれしたい場合に自由度は低いですが、3DCGソフトからVRを簡単に作成できるのは魅力的です。
「VRを作るためにはオーサリング」という作業をおこないます。しかし、「オーサリングに必要なプログラマーがいない」ということが、VR作成の大きな壁でした。しかし、SOLAやMaxのプラグインなどプログラミング不要の「簡単オーサリングツールで作成の壁を越えましょう。」というお話でした。
「VRの壁を越えよう」ということで話してきました。とにかく「だれでもできるVR」のはずです。そして、再生環境も充分整いました。あとは、最適なVR作成ツールを選んで、VRを作りましょう。魅力的な設計、プレゼンテーションになるよう、VRを活用してください。